2016年7月に公開された映画「シン・ゴジラ」。
そのBlu-rayが今年の3月22日に発売されましたが、今週6月19日付のオリコン週間BDランキングで、累積売上10万枚を越え、邦画BD作品史上初の累積売上10万枚突破作品となったことが分かりました。
参照:『シン・ゴジラ』、邦画BD歴代累積売上1位&史上初の10万枚突破 (2017/06/14) 邦楽ニュース|音楽情報サイトrockinon.com
公開されてから間もなく1年が経とうとしていますが、未だ勢いの衰えないシン・ゴジラ旋風。
公式Twitterを見ていると日々、様々なイベントやグッズ・コラボが発表され続けていて、まだまだ盛り上がっている感があります。
さて、かくいう私もシン・ゴジラのBlu-rayを早々に購入していたのにまだここで触れていなかったので、これを機にちょっとご紹介しておきたいと思います。
本当は発売されてすぐレビューしたかったんですが、私が購入したのは「Blu-ray特別版3枚組」というやつで、なんと特典映像が332分もあるんです!
なかなか観る時間がなくて…
でも絶対、特典映像付きがいい!と思っただけあって、大満足の内容でした。
本編DISC
本編については特に言うことはありません!まだ観ておられない方はぜひ一度観てほしいということだけです。
私は今まで怪獣映画に全然興味がなくて、「シン・ゴジラ」がほぼ初めてみた怪獣・特撮映画でしたが、自身が「庵野秀明ファン」であることを差し引いても本当に面白い日本映画でした。
特撮というよりポリティカル・フィクションとしての割合が大きく、でも思想的な押し付け感がなくてちゃんとエンターテイメントしている、そのバランスが良いです。
ジャンルを越えた、「私たちの時代の映画」という感覚がありました。
「式日」「キューティーハニー」の次に来る庵野監督の実写映画ということで、当初は不安しかありませんでしたが(笑)、そんなのをふっ飛ばしてくれる痛快な作品でした。
特典DISC
プロモーション映像集
公開前の特報や、TVCMなどを含む40本弱のプロモ映像集。
一番最初の特報を観た時は「これ大丈夫なん?」と思いましたが、あれも極力ネタバレを避けるための策だったんですね。
イベント記録映像集
完成報告会見、ワールドプレミア、舞台挨拶、発生可能上映などのイベント映像集。
あの伝説の発生可能上映での、島本和彦先生登壇の様子が見れます!当時Twitterで流れを追ってたので、発生可能上映が実現した時はほんと驚きました。特典映像付きを買われた方は、これ目当ての方も多かったのでは?
そして、夫と私もライブビューイングで参加した「全国一斉!発生可能上映」の様子も。
当時、ゴジラ熱に浮かされていた私は勢いでライビュのチケットを取ったものの、いざ臨んでみると「声を出して盛り上げる」のって難しい…と感じさせられたイベントでした。
今は他の映画でもこうした発生可能上映が増えてますけど、自分には向いてないなって思いました…。
上映後のキャストのトークはすごく良かったです。サプライズもありました。
ただ、自分はその場にいるわけでもないのに、客席からの質問コーナーにはヒヤヒヤしっぱなしでした。
スペシャル特典DISC
どちらかと言うと、私はこれが目当てでした!
プリヴィズリール集、アウトテイク集、NGテイク集、現場メイキング、VFXメイキングなどの映像が盛りだくさんの特典DISCです。
すごいボリュームなので、かいつまんでレビューしますね。
プリヴィズリール集
プリヴィズ(Pre-Visualizationの略)とは、映画の実制作に入る前に、様々な検証のため簡易な形で作る映像を指す。
– 映画『シン・ゴジラ』公式サイトより
この特典映像付きを買った理由のひとつが、これです。絵コンテ撮とCG仮編集などの映像に声を当てたもの。
完成品を思い出しながら、ここがああなったんだーと考えながら観ると、また別の楽しさがあります。この時点でBGMまで付いているのにはびっくりしました。
「蒲田くんが既にかなりキモイ」とか、「吹っ飛ぶ京急がプリヴィズの時点でだいぶ出来上がってる」とか、見どころたくさんです。
時折実写映像が挟まる事で、あ、この戦車のカットは本物で、あとはCGなんだ!というのが分かったりしました。
プリヴィズ・特撮アウトテイク集
本編で使われなかった特撮やプリヴィズの映像。
CGを制作するスタッフからも、様々なアイディアが出されているんだなぁというのが垣間見えます。
現場アウトテイク 未使用テイク集
おびただしい数のアウトテイク集。
逃げ惑うエキストラの未使用テイクだけでもかなりの量があります。
災害現場で被害規模を知る矢口のシーンも、普通なら入れそうなのに全カット。他の俳優さんの凄い熱演もカット。
現場で「OK」と言われても、実際に使うかどうかは分からないってすごい仕事だな、と改めて思いました。
ま、身の回りでもめちゃ規模が小さくて似たようなことはあるけど…。
あと、アウトテイクとは関係ないですが、画面に表示されているカメラの種類がキャノン・ALEXA・iPhoneなど多種多様で、その画質の違いが面白いです。
でも本編では使いどころを考えられていて、違和感が無いのが流石って感じです。
現場アウトテイク NGテイク集
いわゆる「NG大賞」的なNGシーン集。
専門用語の多いセリフをすごい早口で言わないといけないので大変そうです。
VFXメイキング
めっちゃ長い特典映像DISCですが、このVFX(視覚効果)メイキングだけでも十分見応えがあります。
まず、ゴジラの第4形態マスターCGモデルが出てきますが、かっこいい!フィギュアを置きたくなる気持ちもわかります。
そして、ゴジラの中の人である野村萬斎によるモーションキャプチャーの様子。
普通にテクテクあるくかわいいゴジラが見れたりします。
中でも感心したのは、CGかと思ってたら写真だったり、空撮だと思ってたらオールCGだったり、実写だと思ってたら特撮だったりと、そのあたりの配分が素人にはまず分からないところ。
特にびっくりしたのは、自衛隊機がゴジラの正面に向けて飛行するシーンなどの東京の街並みが全部CGだったこと!
ビルや民家などのモデルをぎっちり敷き詰めて、そこにテクスチャが足されて、街並みが出来上がっていく様子はほんとに驚きでした。
「そんなの当たり前じゃん」と思われるかもしれませんが、実際に作っている所を見ると「マジか!」ってなります。
これ、他の映画でも使いまわせるんじゃないかな…。
あと、他のCGモデルと若干扱いが違う「無人在来線爆弾の方々」には笑いました。
現場メイキング
まず冒頭の庵野監督の挨拶で、「これまでのゴジラをなかったことにする」「面白い日本映画を目指してやっていきたい」という言葉が印象的でした。
演出場面では、あまり演技指導がなくて投げっぱなし感があり、俳優陣も現場で試行錯誤している感じが見て取れました。
監督の中にある芝居の合格点ではなく、役者がその役を演じることで生み出すものを大事にしている感じ。
いわゆる「水ドン」のシーンとかもそんな感じでしたね。
それもあってか、割と現場でアドリブを足していくことが多いみたいでした。
誰も見たことのない(撮影時には映像もできていない)ゴジラを想像しながらの演技は大変そうだったけど、完成品での緊迫感はリアルで素晴らしかったです。
そして、映画って本当にお金がかかるんだなぁというのがよく分かります。
官邸などはもちろんですが、災害現場の瓦礫なんかも全部セット。スタッフが手でゴミを配置して汚れを足したりという気の遠くなりそうな作業をしていました。
破壊される家屋や、倒れるビルの内部などは特撮のミニチュアなんですが、それもすごく細かい作業で…。
小さいオフィスビルの模型の中に、これまた小さいデスクや文具やコピー用紙を配置したり、屋根瓦を一枚一枚並べたりしたものが一瞬で壊されていくのは「うわーもったいない!」という気持ちと同時に妙な爽快感も味わえます。
かいつまんだつもりが、随分長くなってしまいました。
映画の内容については今回触れませんでしたが、私が読んで面白かったシン・ゴジラ関連の記事をいくつか紹介しますね。
(全部ネタバレありです!)
- 【映画評書き起こし】宇多丸、映画『シン・ゴジラ』を語る!(2016.8.13放送)
- 『シン・ゴジラ』のどこが抜群に面白かったか、わたしの脳内の動きを検証する
- なぜ、マフィア梶田は『シン・ゴジラ』に出演していたのか? 本人に聞いてみた!
- シン・ゴジラ「Who will know」が輪唱なのを足場に和訳と解釈をしてみる
もう映画を観た方も未見の方も、特典満載のBlu-ray、オススメなのでぜひ観てみてくださいね!