プロフィール
- 日ヨリ
Twitter:@hiyorihiyotta
WEBサイト:http://hiyottahiyori.wixsite.com/mysite
最近の活動作品- ラルスと白夜城のお姫様(役:エル)
- 【ショートMMD】「加賀と提督と予定のつづき」【艦これ】(役:山本提督)
イントロダクション
- sero
- 前から気になってたんですけど、声の活動をされてる方の想いというか、どういう方々なんだろうなというのを1箇所に集めて読めたら面白いだろうなと思ってたんです。
- 日ヨリ
- なるほど。
- sero
- 記念すべき第1回目が日ヨリさんということで。
- 日ヨリ
- (笑)恐縮です!ありがとうございます。
- sero
- ターゲットは、声の活動をこれから始めたいなと思ってる人達で、「何から始めていいのかな」とか「皆さんどんな感じでやってるのかな」っていうのが、分かれば一番いいなと思ってます。
- 日ヨリ
- 了解です。
気になる機材と環境
- sero
- 機材とか環境ですね、これを聞きたいんですけど、私も日ヨリさんのホームページ見まして、ちょっと言葉が分からない…んですけど。
- 日ヨリ
- はい。そうですね
- sero
- マイク、コンデンサー、コンデンサーが2つなのかな?
- 日ヨリ
- そうですね、コンデンサーマイクがTLM102というやつと、ATの4040というやつです。
- sero
- 「コンデンサーマイク」っていうやつなんですね。
- 日ヨリ
- ですね。
- sero
- これは何か普通のマイクとは違うんですか?
- 日ヨリ
- 一般にカラオケとかでよく見る形のマイク、ライブとかで歌っている時に使用するマイクが「ダイナミックマイク」って言って、指向性がかなり強くて、頑丈だったりとかするんです。自分もSM58っていう王道のマイクを持ってます。
- 日ヨリ
- コンデンサーはそれに比べて、外部から電源の供給が必要なくらいにパワーを使う機体なんです。ダイナミックに比べて音をすごくよく拾ってくれる。
- sero
- ほうほう
- 日ヨリ
- プロの現場で使ってるのもコンデンサーマイクですし、2~30万するやつを使ってます。
- sero
- なるほどね~。これは状況に応じて使い分けるんですか?
- 日ヨリ
- そうですね~。ナチュラルな音が録りたい時はAT4040で、若干高音を際立たせたい時とか、クリアな音が録りたい時はTML(102)を使って、あんまりマイクの音質が関係ないような時はSM58、ダイナミックを使う感じですね。
- sero
- マイクの音質が関係ないっていうのは、例えば今こうやって話している時とか、そういう感じですかね。
- 日ヨリ
- そうですね、あとは実況とかしたりする時は、あんまりいいマイク使っても勿体無いので(笑)消耗品なので。
- sero
- あっ、消耗品になるんですか?
- 日ヨリ
- わりと、壊れますね。何年も使ってると。
- sero
- えー!そうなんですか。それぐらい、繊細なもの?
- 日ヨリ
- そうですね、湿気にも弱いし、保存状態にはすごく気をつけなきゃあダメですね、コンデンサーは特に。ダイナミックは丈夫なんですけど。
- sero
- そうなんですか。保存方法っていうのは、具体的にはどんな感じなんですか。
- 日ヨリ
- とにかく湿気がこの子達はすごく苦手なので、大抵は買った時に保護フィルムっというか湿気を取る素材のケースと一緒に付いてくるんですけども、まあ使うたびにその中に入れて、水取りぞうさんをお供えして、湿気を一切通さない構えを取ってます。
- sero
- それほどまでに、ケアというか、保存が大切ということなんですね。
- 日ヨリ
- ですね。高いですしね~。
- sero
- そうですよね(笑)僕ら素人から見たら、いいマイクっていうのは分かってたんですけど、扱いがそんなに繊細だとは思ってなかったんで、今初めて聞いて、驚きましたね。
- 日ヨリ
- いやあ~、ほんと壊れやすいんです。機材の消し方ひとつ間違えると故障の原因になるくらいデリケートですね(笑)
- sero
- そうなんですね(笑)消し方っていうのがあるんですか。電源の落とし方?
- 日ヨリ
- はい
- sero
- へえ~ 初めて知った。勉強になるな~。
- 日ヨリ
- 高いものですからね。なるべく長く(寿命が)続いて欲しいってのがあります。
- sero
- うんうん。じゃあ「ここぞ」って言う時にはこれが出てくるってことなんですね。
- 日ヨリ
- ですね
- sero
- 分かりました。「オーディオインターフェース」っていうのは、「アポロ」って読むんですかね。アポロツイン、っていうのかな?
- 日ヨリ
- そうですね。
- sero
- これは一体何をするものなんですか?
- 日ヨリ
- えーとまず、このオーディオインターフェースがないと、コンデンサーマイクが使えないですね。
- sero
- はー、そういうものなんですね。
- 日ヨリ
- このApollo Twinもそうなんですけど、コンデンサーマイクに電気を供給する機能がこのオーディオインターフェースに付いていて、パソコンにその機能が無いので、使えないんですよ。
- sero
- はー。
- 日ヨリ
- でもって、マイクからくる信号をこのオーディオインターフェースが処理してくれて、クリアにしてくれたりとか音を上げてくれたりとか、色々してくれるわけなんです。
- sero
- 調整みたいな事もしてくれてるって訳ですか?
- 日ヨリ
- ですね。いくらマイク良いの使ってても、このオーディオインターフェースの性能が悪かったり相性が悪かったりすると、マイク本来の音の良さを活かしきれなかったりしちゃいますね。
- sero
- なるほどー、分かりました。あと防音室があるっていうことなんですけど。
- 日ヨリ
- はい。
- sero
- これは、何ていうんですかね、こう…業者さんに作ってもらったりとか?どういうものなんですか?
- 日ヨリ
- ウチのは、ヤマハさんの防音室ですね。名前忘れちゃったんですけども(笑)
- sero
- それはもう、売り物としてあるってことですか?
- 日ヨリ
- はい、そうです。
- sero
- 部屋の中に部屋がある、みたいな感じです?
- 日ヨリ
- そうですね。まさしくその通りです。
- sero
- 叫んでも外にはほぼほぼ聞こえない感じなんですか?
- 日ヨリ
- もうかなり減衰しますね。おそらくMAX音量で叫んでも、玄関まで届かないくらいだと思います。
- sero
- じゃあもう隣に住んでる人達にはもう分かんないくらいですか?
- 日ヨリ
- 全然分かんないと思います。
- sero
- へー、そんなものがあるんですね。
- 日ヨリ
- これは結構お金的にハードルが高いですね。それと防音室だけ買っても始めは反響音が凄すぎて使えません。
- sero
- はあー。
- 日ヨリ
- なので、更に吸音材をつけます。自分の場合は吸音材だけで5万くらいかかってますね(笑)
- sero
- 防音室だけ入れても、反響しちゃうってことですか?
- 日ヨリ
- そうですね、ワンワンワンワン音が反響して、納品できる音じゃなくなっちゃうので。
- sero
- なるほど。ちゃんと吸収してくれるものがいるってことですね。
- 日ヨリ
- ですね。でこぼこしたものを壁一面に貼り付けてます。
- sero
- ですよね、これ写真見るとそうなってるんで、まさにそうなんだなと思いながら…結構驚いてます。
- 日ヨリ
- ここまでいくともう、何やっても大丈夫ですね。
- sero
- そんな感じしますね。もう完全にそういう部屋だなって思っています。(詳しくは日ヨリさんのホームページ参照)
この「バイノーラルマイク」っていうのはどういうものになるんですか
- 日ヨリ
- これはですね、「ダミーヘッドマイク」っていう呼び方をされる機材があるんですけど、人間の胸から上だけの形をしたモアイみたいな感じの像にマイクが埋め込まれてるんです。
- sero
- なるほど。
- 日ヨリ
- 耳のところにマイクが埋め込まれてて、実際に右耳のところで話すと右から聞こえる、左耳に話すと左から聞こえる、後ろに回って話すと、後ろから聞こえるような気がするっていう。
- sero
- へえー。
- 日ヨリ
- その場に自分が居るかのように錯覚させられる音響効果を持ってるマイクですね。
- sero
- はあー。
- 日ヨリ
- 短いやつですけどサンプルに載っけてるやつで、右左でぐるぐる回ってたような。
- sero
- あ、サンプルのボイスがあるっていうことですか。
- 日ヨリ
- そうですね、今ホームページに載っけてると思います。
- sero
- これか「立体音響 取り調べ」っていう。
- 日ヨリ
- それですね。
- sero
- (画像検索し)こういうものですか?
- 日ヨリ
- そうですそうです。そういう感じです。
- sero
- なるほど(笑)
- 日ヨリ
- これを、マイクだけを買って、どこかから仕入れてきたマネキンの首に植え込むと(笑)いう感じで。
- sero
- へぇーー。面白い。こんなのがあるんですね。
- 日ヨリ
- ニコニコ動画だと女性の方が、耳かきボイスとか。
- sero
- あー、はいはいありますね。
- 日ヨリ
- あたかも自分が耳かきをされているように聞こえるっていう。
- sero
- なるほど。あれは「ダミーヘッドマイク」なんですね。
- 日ヨリ
- そうです。なかなか面白いですよ。効果音素材とかもすごい良い音録れますし。
- sero
- なるほど。機材のインタビューとは違ったレクチャーを受けたような感じになりました。
- 日ヨリ
- (笑)
- sero
- 僕が全然知らなかったもんですからね。これから始める人の気分になって聞いてました。声の活動を始めるにあたって色々な知識がいるんだなと。機材とか高いマイク買っても保存方法とかもあるし、ちゃんとしないとダメなんだなって、なんか思いましたね。
- 日ヨリ
- 声劇とかで遊ぶ分には、安い3000円ぐらいのマイクがあれば出来るんですけどね。いい音とかお金もらおうとかこだわりだすとキリがない世界に突入します。
- sero
- なるほど(笑)。じゃあ日ヨリさんは突入しちゃってる状態っていうことですね?
- 日ヨリ
- しちゃいましたねー。
声活動のきっかけ
- sero
- 流れ的にちょうどいいんで、日ヨリさんが声の活動を始める事になったきっかけを教えていただけますか?
- 日ヨリ
- あれは2014年頃、なんとなく暇だったのでニコニコ生放送で怪談朗読を始めたんです。
- sero
- あー、今もyoutubeとかでもやられてますよね。
- 日ヨリ
- で、始めはそれ以上やる気なかったんですけども、なんか一緒に他にも怪談朗読してらっしゃる方から声をかけていただいて、怪談のイベントに出た時に、最近ボイスドラマにもなった怪談の「師匠シリーズ」っていうシリーズ物がありまして、それをみんなで一緒にやらないかっていう話になったんです。
それまで「声劇」っていう言葉すら知らなかったんですけども、「なんか面白かったしこれからもみんなでやってみようか」って言って。たぶんそれが初めですね。 - sero
- これは実際に会ってやるわけですか?
- 日ヨリ
- いや、ネットですね。Skypeとかを使って、音声のやり取りで。
- sero
- そこで「声劇」とかそういう、言葉とか知識をつけていったっていうことですか。
- 日ヨリ
- そうですね。ネットでお芝居をするっていう発想自体がまず無かったので。
- sero
- 今までお芝居とかされてて、ニコ生で朗読始めようとかって訳ではなくて、ほんとにニコ生からスタートって感じなんですか?
- 日ヨリ
- いや、ネットの活動に関してはそれが契機、という事で、その前はまあ色々と(笑)
- sero
- その前までは色々なところで演技というか、「劇」的なことはやっておられたという感じですかね
- 日ヨリ
- そうですね
- sero
- ここ、大丈夫ですか、出しても
- 日ヨリ
- 大丈夫です!
演技ですべきことは、極力何もしないこと?
- sero
- 演技とか朗読とかマイクで声を出したりライブしたりっていう中で、日ヨリさんがすごく気をつけている事とか、モットーにしている事とかあれば教えていただけますか?
- 日ヨリ
- 一番は、「極力、何かをしようとしないこと」ですね。
- sero
- 「何かをしようとしない」?
- 日ヨリ
- 例えば「カッコイイ役だから、カッコイイ芝居をしてやろう」とか「言い方をしてやろう」とか、そういうことを、邪念をしない、余計なものをくっつけない。
- sero
- なるほど。
- 日ヨリ
- それが入ってくると、それはもうただ単に「日ヨリ」であって、そのキャラクターから離れてしまう。なるべくはそのキャラクターに寄り添うために何かをしようとしない、我を見せるな(笑)
- sero
- 「我を見せるな」。自分を出してしまいそうになるけど、そこをグッと抑えて。出さないように気をつけるってことですか?
- 日ヨリ
- そうですね。そのキャラクターでその場にいる事を大事にするためには、「なんかしようとすんな!」と心がけています。我が強いので…。
- sero
- なるほど(笑)
- 日ヨリ
- 大変です。
- sero
- こういう事をやられてる人っていうのは、基本的に我が強いでしょうね、やっぱり。
- 日ヨリ
- (笑) 強いと思います(笑)
- sero
- 前へ前へ、っていうような。その中で我を出さないように、極力何もしないように、純粋にそのキャラクターに向き合うって感じですか?
- 日ヨリ
- そうですね。結局もう技術云々…喋り方、表現は普段きちんとやっていれば、本番でやる時に何も考えなくても出てくるものだと思っています。本番になって何かをやろうとしていたら…、ま、完全にそういう気持ちっていうか、思考を排除してしまってはいけないんですけども、どうしても自分が大きくなりすぎると空々しくなってしまったり、気持ちがこもってなかったり、上辺だけすごくカッコイイ声でカッコイイ言い方してるんですけども、心カラッカラやな、みたいな感じになっちゃったりします。そうすると怒られますね(笑)
- sero
- なるほどね。やっぱりそういうことを言われた事もあるんですか?
- 日ヨリ
- うーん、あります。超、我が強いナルシーでしたからね。ガンガンもう怒られ怒られ。
- sero
- 我を出さないように、っていうのが、演技で気をつけるひとつのポイントっていう事ですかね?
- 日ヨリ
- 自分の場合はそうですね。
日頃の練習方法
- sero
- ちなみに普段、なんていうかこう…僕のイメージだと、アナウンサーとか声をやってる人っていうのは「アエイウエオアオ」じゃないけど、そういう練習方法みたいなのが、あるのかなと思ってるんですけど、例えば怪談朗読をする前に準備運動的なものだったり、練習する方法?やっておられるものがあれば教えてもらえますか?
- 日ヨリ
- これはもう、基礎的な事しかやってないですね。
- sero
- 基礎的な事?
- 日ヨリ
- 普通に滑舌のテキストを読み上げーの、今身体のどこに響いているのか、身体のどこを使っているのか、身体にムダに力が入っていないかとか、意識しながら、確かめながら滑舌のテキストを読み、時々、感情を込めてみたりしながら。楽器の調整に近いですね。
- sero
- へえー。滑舌のテキストを読みながら、調整するって感じなんですか?
- 日ヨリ
- そうですね。今日はこの行がヤバいな、とか。
- sero
- ああ、なるほど。
- 日ヨリ
- 日によって変わってくるんで。
- sero
- 例えばですけど、今日はサ行がヤバいなとか、そういうのがあるってことですね。
- 日ヨリ
- ありますねぇ。今日はちょっとなんか、息が抜けすぎるから綿(わた)詰めよう、みたいな事もありますし。
- sero
- 綿を詰める?
- 日ヨリ
- 歯に隙間があったりすると、息が漏れすぎて気になるから、ちょっと詰めとくか、って。
- sero
- なるほどねぇ…。そういうこともやるんですね。
- 日ヨリ
- やりますね。やっぱそれやったほうが最終的に自分に得というか、ノイズ処理もしなくて済みますし(笑)
- sero
- そういう所にも気を使って。なんか凄いですね。聞いてみないと分からないですね。あの、響いてる所っていうのがあったじゃないですか?
- 日ヨリ
- はい。
- sero
- 僕が思うのは、胸で響かせるとかそういうのかと思うんですけど、具体的に場所とか、頭の上とか、なんかあるんですか?
- 日ヨリ
- うーん。若い感じの声を作る時は鼻骨を鳴らすような感じでやって、年齢をどんどん下げていく時は、胸から背中にどんどん落としていく感じです。
- sero
- 高い声を出すときには…
- 日ヨリ
- あ、えーとですね、軟口蓋ていう…
- sero
- ナンコウガイ?専門用語が凄いな(笑)身体の部位で言うとどの辺ななんですか?
- 日ヨリ
- のどちんこのちょい手前にある柔らかいところがあるんですけど、そこが「軟口蓋」っていって、そのちょい手前の歯のすぐ後ろの固いところが硬口蓋て言うんですけども、軟口蓋に当てる その軟口蓋の上の鼻の骨を振動させて共鳴させるような感じです。
- sero
- そこに響かせるようにすると若い声感じの声が出るということですか?
- 日ヨリ
- そうですね、抜けが良い綺麗なクリアボイスとかを出したいような時も上に持って行きますね。
- sero
- 下げる時はどんどん下に行くっていうことですか。
- 日ヨリ
- そうですね。基本的には全部を体に響かせるんですけども、意識としてはそういう使い分けです。
- sero
- やばいなー。思った以上に深いなと思って。なるほどねあるんだなやっぱそいうのが。当たり前ですけど聞いてみると生々しい感じがしますね。
- 日ヨリ
- 技術ですからねこれも全部。
- sero
- みなさん勉強中ですもんねそういう意味じゃ。
- 日ヨリ
- 一生勉強です。体は変わっていくので。
- sero
- あそうか、体もそうですよね。年齢とともに変わっていくからやり方が違ってきますもんね。
- 日ヨリ
- そうです。1日調整をさぼると大変な事になります。
- sero
- 毎日調整されるって事ですか?
- 日ヨリ
- しますね。1日サボると芝居の感覚わかんなくなっちゃいます。
- sero
- えー、それほどまでにですか。
- 日ヨリ
- ですね。
- sero
- 面白いって言ったら変だけどまさかそこまでとは、って思ってましたからね。
- 日ヨリ
- うちの師匠が「1週間休暇取って芝居しなかったらもう感覚わかんなくなった」って言ってたんで、じゃあ俺らはもう3日と言わず1日でそうなると思っといたほうがいいなという感じです。
- sero
- 出来る限り毎日やると。
- 日ヨリ
- 何かしらやります。
- sero
- ちなみに風邪引いてる時もやるんですか?
- 日ヨリ
- 風邪引いてる時も、風邪引いてる時用のやり方で。
- sero
- 引いてる時用のやり方(笑)
- 日ヨリ
- 喉に負担かけないとか、感情の動かし方とか、風邪ひいててもやんなきゃいけない時はやらなきゃいけないので。その時のための体の使い方もいい機会だからやっておこうって。
- sero
- 風邪になったらなったで良い機会だと、プラスにとってそれでやるって言うことですね。
- 日ヨリ
- 風邪引いた時はこんなしんどいんだ、こんなだるい声になるんだ!風邪引いた芝居きた時はこれ使おう!っていう(笑)
- sero
- 全部が役立つってことですね。
- 日ヨリ
- そうですね、全部役立ちます。
喉は消耗品!?ケア方法について
- sero
- ちなみに、加湿器とか喉のケアっていうのはやっぱりやられてるんですか?
- 日ヨリ
- 加湿器はもうこの季節はつけっぱですね。あとは家の中でもマスクしてるぐらいですからね。
- sero
- へー家の中でもマスク?
- 日ヨリ
- ですね。基本的に何もしていない時はマスクしてますね。
- sero
- ほーなるほど。そういう意味じゃ、24時間体制ですね。
- 日ヨリ
- 寝るときはさすがに苦しくなって外しちゃうんですけど。あとは龍角散を常備したりとか。
- sero
- へー面白いって言ったらあれだけど(笑)
- 日ヨリ
- 喉も消耗品なんで。
- sero
- 確かに言われてみたらそうですよね。年を重ねると味わいも出てくるし。
- 日ヨリ
- 60年、70年の年季入った声も素晴らしいですよ。酸いも甘いもそこから出て来るっていう。人生経験全てがお芝居に出てくるのは素晴らしい。マネは同じ歳にならないとできないですね。
ちょっと休憩、声の活動以外で気になること
- sero
- じゃあ、声の活動以外で、気になることとか、趣味とか聞いてもいいですか?
- 日ヨリ
- これすごい悩んだんですよね~。えっと、設定資料を読むのがすごい好きなんです。物語とか映画とか。面白い映画とか見た後だとこの世界設定はどうなってんだとか、例えばファンタジー世界だと他にはどういう種族がいるのかな、とか、この前には何があったのか、とか、そういうのを調べるのがすごい好きですね。
- sero
- 確かに色々ありますもんね。アニメにしても映画にしてもゲームにしても設定資料ってのは別売りであったりしますもんね。それがやっぱり気になるって事ですか。
- 日ヨリ
- 気になりますね。このキャラクターの裏設定こういうのがあったんだ!とかそういうのを調べるのが好きですね。
- sero
- やっぱり演技するのにも関わってるんですかね。
- 日ヨリ
- それはあると思います。
- sero
- 最近でそういう設定資料で気になったのとかありますか?
- 日ヨリ
- 最近はアベンジャーズかな。アメコミの映画の。wikiやら他の方が解説しているものやらを漁って漁って、そっからまた飛んで行ってみたいに。原作こうなってんだとか世界観はこういう風になってんだとか調べたりしました。
- sero
- 今調べようと思ったら色んな方法がありますもんね。
- 日ヨリ
- そうですね。
声の活動をやっていて良かった事としんどかった事
- sero
- じゃあ声の活動をやっていて良かったなって思う事ってなんですか?
- 日ヨリ
- これはもう反響があった時ですね。コメントがもらえた時とか。あとは作品に声を提供させていただいて際に「お頼みして良かったです」とかって言ってもらえた時がすごく嬉しいです。
- sero
- それは嬉しいですね。声の活動冥利に尽きますね。
- 日ヨリ
- ですね。
- sero
- では、逆にしんどかったなって思うことは何ですか。
- 日ヨリ
- これは完全に逆なんですけど、何の反応もない時ですね(笑)無反応が一番きついです。
- sero
- やっぱりそうなんだ。
- 日ヨリ
- なんか表現する立場としては無関心ほど辛いものはないですね。
- sero
- 何か言ってくれよ!っていう。
- 日ヨリ
- なんでもいいから!何なら批判コメでもいいからくれ!
- sero
- 無言というかそういうのは一番しんどいってことですかね。
- 日ヨリ
- 一番辛いですね。
- sero
- どうしていいかわかんなくなりますもんね。
- 日ヨリ
- 地味にマイリスだけ増えてるんだけど、コメントがない!俺はこれでいいんだろうかっていう感じです。
イケボは作れる!
- sero
- ちょっと気になってたんですけど、日ヨリさんいい声されてるじゃないですか。
- 日ヨリ
- ありがとうございます。
- sero
- いい声ってできるんですか?こんなざっくり聞いたら変ですけど(笑)
- 日ヨリ
- これはもう自信持って言えますけども、できます!
- sero
- できるようになるって事ですか。
- 日ヨリ
- なります。自分も本当に芝居始めた頃は師匠から毎日のように「お前はクソみたいな声だな」と言われてました。「お前は芝居頑張っても声がなー」って。それぐらい本当にもうクソみたいな声だったんです。
で、頭に来て、このやろう!と思って(笑)自分の声録音して、これが悪いんだったらこうならないようにやってやらあ!っつって。毎日毎日調整してたら、ある日「お前いい声出したな」って言われて、「あ、これがいい声なんだ」って。 - sero
- じゃあ最初から今聞いてる日ヨリさんの声じゃないっていうことですか?
- 日ヨリ
- 違ったと思います。
- sero
- 自分で録音して聞きながら?
- 日ヨリ
- はい、本当に気が狂うかと思うぐらい聞きました。何が何だかわからなくなるくらい。
- sero
- 芝居しては聞き直して、芝居しては聞き直して、ですか?
- 日ヨリ
- そうですね。ずっとそれを繰り返してましたね。
- sero
- 生まれ持って良い声の人っているじゃないですか、そうじゃなくても作っていけるってことですか?
- 日ヨリ
- 行けます!行けます!
- sero
- これはもう心強い言葉ですね!練習あるのみっていう感じですか。
- 日ヨリ
- そうですね。必ずできるとは言いませんが、努力し、やり続ければ可能性は絶対にあります!
- sero
- イケボって言われる声がありますけど、それってある種のギフトみたいなもんだと、天から授かったみたいに思いがちですけど、そうじゃないよってことですね。
そういう人もいるでしょうけど、多くはやっぱり努力の結果としてそれがあるっていう。 - 日ヨリ
- 今の若い世代の声優さんとか見てると「あーいい声は天性のものなのかな」って思うかもしれないですけど、60代70代の声優さんって、今の若い世代の方々よりもとても特徴的な声をされてます。でも普段おしゃべりをしてる時は普通のおっさんですよ(笑)
あれは昔のアニメキャラクターとかに合わせて、特徴的なデフォルメした声を出す努力を凄い重ねてきた結果ああいう声を手に入れてきた方々ですね。 - sero
- 冴羽獠とかの声聞くとむちゃくちゃかっこいいと思うけど、別に普段あんな感じじゃないですもんね。
- 日ヨリ
- そうですね。あれはもうお芝居用の営業用の声ですね
- sero
- だから作って行けるんだって言うことですね。
- 日ヨリ
- いけます努力次第です!
表現活動に100点満点はない
- 日ヨリ
- 表現活動ですので絶対に100点満点がつくことはないと思った方がいいです。
- sero
- なるほど。
- 日ヨリ
- 10人中3人から「いいね」って言ってもらえたら勝ちだと思うくらいの心意気いた方がいいと思います。そんぐらいが多分、精神衛生上良いと思います。
- sero
- そうかもしれないですね
- 日ヨリ
- たとえ7人から嫌われようとも3人も自分のことを好きって言ってくれる人ができたら「やったぜ!」と。
- sero
- でそこからだんだん一人、二人と増やしていくような営みがいるって言うことですよね。なかなか一朝一夕にはならないですもんね。
- 日ヨリ
- 批判で折れてしまうのがとても心配。まだ拙い(つたない)頃になんやかんやと言われて、それで折れてしまうこともあるので。
- sero
- そうですね、今はTwitterにしてもニコニコにしても youtube にしても、全部コメントがつきますもんね。そうすると良い面もあるけど「下手だな」とか書かれちゃうと心が折れちゃうんじゃないかっていうのを心配はありますよね。ちなみにそうした時にはどうされてました?
- 日ヨリ
- 基本的にはもう罵詈雑言は無視ですね。例えば「ここがこうだからダメなんだよ」って言われたら「ありがとうございます」ってなります。罵詈雑言はそれはこの人とは感性合わないんだなっていう風に。あんまりこうコメントの意見を鵜呑みにしすぎるのも良くないですし、その都度フラフラしてしまっては行きたい所にも行けなくなってしまうので。
- sero
- 難しいとこですね。コメントって一つの意見であって、それが絶対に正しいとは限らないですもんね。
- 日ヨリ
- ですね。
- sero
- ひとつのコメントに左右されずに、本当に自分が伸ばしていくために何が今足りてなくて今何ができてるのかっていうことを常に持っておきながらやらないといけないという感じですかね。
- 日ヨリ
- 自分の登りたい山の頂きを見つけるためにも良い作品をバンバン見てください。この人のようになりたいこの人みたいに芝居したい!と思ってそこにたどり着くにはどうすればいいか考えることですね。そこが決まれば多分コメントや外野の声で惑うことも少なくなると思うんです。
- sero
- プロでいいってことですかね?
- 日ヨリ
- プロ「が」いいです!
- sero
- プロでこの人になりたいっていう目標となる人物を見つけるって言うことですかね。
- 日ヨリ
- そうですね。
- sero
- で、その人の芝居をとにかく聴くっていうことですか。
- 日ヨリ
- 完コピするぐらいの勢いで。初めは側(がわ)だけ作って後で中身は注ぎ込んでいけば、個性は後から勝手についてくる。技術は模倣です。
- sero
- ちなみに日ヨリさんは「この人!」っていう人は誰ですか?
- 日ヨリ
- どうしても師匠は常につきまとってきますね(笑)名前を言ってしまうとたぶん分かってしまうので…そうですね、若い世代だと感性的にこの人の感じが素晴らしいなって…表現をすごくストレートに感じたままを出して凄いなって思ったのはもう宮野真守さんですね。ずば抜けてると思うなそういう点に関しては。
- sero
- なるほど。
- 日ヨリ
- 聞いてて楽しいですね。日本人って直球で感情を表現してしまうのはちょっと憚られる、みたいな思いがどっかにあってブレーキをかけたいところを、もう宮野さんはアクセル全開でギュン!と飛んでくんで(笑)
- sero
- ズバリいっちゃうってとこですね。
- 日ヨリ
- そのアクセル全開のお芝居表現がとても好きですね。
- sero
- 確かに日本人って感情を奥にしまいがちですよね。嬉しくても喜んじゃダメ、とか、悲しくても悲しんじゃダメっていうか。
- 日ヨリ
- 建前…耐え忍んじゃうことが多いんでね。
- sero
- 怒っても怒れないですしね。だからこそそこを演技ではっきりいく宮野さんはすごいなと。
- 日ヨリ
- すごいです。マイクを越えてこっちにきます。
- sero
- なるほど、名言出て来ますねいっぱい 。綺麗に書いたら語録みたいになるでしょうね。
- 日ヨリ
- (笑)
- sero
- マイクを越えて向こうから来る、っていうね。そういうイメージは大切なんでしょうね。
- 日ヨリ
- マイクの向こうにやっぱりその人だったり対象がいると思ってお芝居をしないとどうしても平面上になってしまいます。
- sero
- なるほど面白かったです。
- 日ヨリ
- 良かったです(笑)
ご縁は大切に
- sero
- じゃあ、最後にってことになりますけど、声の活動をする人達、一緒にやってる人、これからしようと思ってる方々に何かメッセージがあればお願いします。
- 日ヨリ
- 何かの作品でご一緒できるような縁があった時はその作品をより良いものにできるよう一緒に頑張りましょう!
っていうテンプレート的な無難な感じで(笑) - sero
- こういうのは一人じゃできないことが多いですもんね。朗読だと一対お客さんっていう状況かもしれないですけど、ボイスドラマとかになってくるといろんな演者さんというか、そういう方々と一緒にやるっていうことが多くなりますもんね。一期一会の時もあればずっと続くっていうこともあるでしょうし。
- 日ヨリ
- ご縁は大切に大切にです。何が起こるかわかりませんから。
(この記事は、2017年2月に公開したものの再掲です)