ハーバードで行われた実験「選択をする時よく考えて選んだ方が不幸になる」理由

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この記事は2017年10月23日に書かれたものです。
現在は内容が古い可能性もありますのでご注意ください。

私がたまに観る「TED」という動画の中から、一際興味をそそられたモノがあったので紹介します。

人生は選択の連続です。
その選択において、「時間をかけて考え選んだ結果は、不幸になりやすい」というものです。

これはダン・ギルバート氏の「私たちが幸せを感じる理由」というスピーチで語られていました。

というわけで簡単ですがその内容を紹介していきます。まずはハーバード大学で行われたある実験からです。

ハーバード大学でおこなわれた幸福に関する実験

ハーバード大学で次のような実験が行われました。

ハーバード大学の思い出が詰まった12枚の写真を生徒に撮ってもらいます。
生徒は自分自身で現像し、その12枚の中から最高の2枚を選んでもらいます。

最後に「実は選んだ2枚の内1枚は大学側で保管したい」と告げ、どちらか1枚を諦めてもらいます
生徒は「1枚手放すのですか!?」と驚きます。

さらに実験は続き、ここから2つのケースに分かれます。

半分の生徒には

「本部に送るまでの4日間、いつでも変更できるからゆっくり考えたら良いよ。」

と伝えます。

もう半分の生徒には

「すぐに選びなさい。2分後には本部に送るからもう二度と写真は変更できない。

と伝えます。

その後どちらが手元に残した写真に満足するかというのを調査した結果、

© TED Conferences, LLC

変更期間を設けて悩んで選んだ生徒は、その期間を過ぎた後も自分の選んだ写真に満足することができませんでした。
むしろ不満さえ抱いてしまいました。

逆に、変更期間が無く、すぐに写真を選ばなければならなかった生徒は自分の選んだ写真に満足しました。

そして実験はさらに続きます。

その後、フォトグラフィーを専攻している生徒に

撮った2枚の写真の内どちらか1枚を選ぶのに4日間考える時間があるコース

2枚撮った写真の内すぐどちらかを選択しなければならないコース

このどちらのコースに参加したいかを調査しました。

その結果、66%の生徒

4日間考える時間があるコース

を選択しました。

3分の2の生徒が「選んだ写真に大変不満を抱いてしまうコース」を選択したんです。

これには「自然発生的幸福」と「人工的幸福」が関係してきます。

そして生徒達はそのメカニズムを知りませんでした。

 

自然発生的幸福と人工的幸福について

自然発生的幸福とは、「欲したものが手に入る事」です。

人工的幸福とは、「欲したものが手に入らなかった時、自ら作り出す幸福」です。

人は「自然発生的幸福」と比べ「人工的幸福」は価値が低いと考えがちです。

それもそのはずで「欲しいものが手に入る幸福」と「欲しいものが手に入らなくて自ら作り出した幸福」が等価値とは考えにくいですよね。

ですがハーバード大学の実験からも分かるように、「人工的幸福」の価値が必ずしも「自然発生的幸福」より低い結果になるとは限りません。
それどころか、この写真の実験では全く逆のことが起こりました。

アニメ「PERFECT BLUE」「千年女優」「パプリカ」などで有名な今敏監督は、次のような事を言っています。

時間をかけると、いろいろ不満な点を解消できるのは事実なんですけど、時間をかけることで出てくる不満のほうが大きい気がする。条件的に、ちょっと足りないぐらいのところで、その枠の中で最善を尽くすといったやり方をしていった方が、アイデアも面白いものが出てきます。

なるほど、って感じです。そういう経験が自分の中でも少なからずあるような気がします。

選択の結果を正当に評価する

時間をかけて選べるというのにはメリットもありますが、つらさもあります。

人は選ばなかったもう一方の未来を過大評価しがちです。「あの大学に行っていれば」「あの会社に就職していれば」「あの人と一緒になっていれば」と選んで無い方の未来を想像し疑似体験します。それはとても都合の良い未来です。

もっと身近なところでは、外食で何を食べるのかを決める時でも、時間をかけてしっかり選んだのに「やっぱりあっちを注文しとけばよかった」と食べながら後悔することもあります。当然満足には至りません。

逆にもうこれしかなかった「こんな自分をこの会社は拾ってくれた」「こんな自分にも一緒になってくれる人が出来た」という状況の方が、「人工的幸福」のメカニズムが働いて前向きに頑張れるのかもしれないですね。

なんかよく考えて選ぶことが悪いことのように書いてますが、決してそういうわけではないです。
時間をかけて選べるというのは有り難いことですし、よく考えて決めた方が良い結果になることも多いです。

この実験から学ぶべきことは

選ばなかった未来は現在より良いものと過大評価してしまい、その結果今の現状が不幸だと認識させてしまう可能性がある

ということです。

人工的幸福のメカニズムは「時間をかけて選んだ結果」と相性が悪いんです。

このことを知っておけば「時間をかけて選んだ結果」に正当な評価をすることができるようになり、例え選んだ結果が不満足なものだったとしても過去の選択に引きずられること無く、現状の問題点に注力し打開するための前向きな考え方になることが出来るかもしれません。

人生は選択と決断の連続です。少しでも後悔しないためにそして前進するためにこういうことを知っておくのは損じゃないと思います。

ここまで書き綴ってきましたが、私が紹介した内容に誤った解釈もあるかもしれません。
もし興味が有る方は下記にある動画を観てみてください。動画の時間も約21分と短めですよ。