30代後半から考える人生の「セカンドステージ」:新日本プロレスラー高橋ヒロム36歳の退団もその一例

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2026年、プロレス界に衝撃が走りました。EVIL選手、高橋ヒロム選手といった新日本プロレスの看板選手たちが退団を選択したのです。いずれも会社と話し合った上での前向きな退団であると報じられています。

少し時計の針を戻せば、オカダ・カズチカ選手の退団、そして内藤哲也選手の動向などが思い出されます。
彼らに共通するのは、30代後半から40代前半という年齢。つまり、人生の「セカンドステージ」を真剣に考える時期に差し掛かっているということです。

「人生このままでいいのか?」

「この代わり映えのない日がずっと続く、それでいいのか?」

「何かに挑戦するなら、この年齢がラストチャンスなのでは?」

彼らの決断を見て、そんな問いが頭をよぎったのは私だけではないはずです。これは特殊な職業であるプロレスラーだけの話ではありません。私たち一般的な会社員にも、同じように訪れる人生の分岐点なのです。

なぜ30代後半で「迷い」が生じるのか

20代から30代前半までは、仕事に対して「しんどい」「辞めたい」と思うことはあっても、「人生そのもの」について深く考えることは稀です。未来はまだ「ふわっと」していて、老いや死など自分には関係のないことのように思えます。頭では分かってはいても、実感が伴わない状態です。

しかし、30代後半になると景色が変わります。経験を重ねたことで、未来の「解像度」が一気に上がるのです。自分の40代、50代、そして老後や人生の終焉が、わりと鮮明に見えてきてしまいます。まさに「自分事」として、リアルに実感するようになるのです。

たとえ良い会社に勤め、公務員のように一生安泰だとしても、「レールの先」が見えた途端に不安が湧き上がってきます。「本当にこの景色を見続けるだけで終わっていいのか?」「一度しかない人生、本当にこれで良いのか?」と。

多くの人はそこで踏みとどまります。環境を変えるリスクや努力のコストを天秤にかけ、現状維持を選択します。あるいは、惰性でそのまま進んでしまうのです。そして50代、60代になった時、「あの時挑戦しておけば」と後悔するか、「平穏な日常こそが幸せだった」と納得するか、答え合わせをすることになるのです。

プロレスラーに見る「35歳の壁」とキャリア戦略

いちプロレスファンとしての視点で、この構造をもう少し掘り下げてみます。

プロレスラーのキャリアにおいて、アントニオ猪木、武藤敬司、棚橋弘至のような華々しい引退ができるのは、異常値とも言えるごく一部のスターだけです。

多くのレスラーは、若手からキャリアを積み、35歳前後で選手としての価値がピークに達します。しかし、そこから先は残酷な現実が待っています。

後から台頭してくる若手レスラーのライバル役になり、次は彼らの壁役になり、最後はヤングライオンの相手を務めるベテランへと役割が変化していく。「ああ、自分はこのまま引退試合まで、静かにフェードアウトしていくんだな」という未来図が見えてしまうのが、35歳という年齢なのです。

だからこそ、そこから更に価値を高めるためには「退団」し、海外挑戦や自身の団体設立といったリスクを取る必要が出てきます。オカダ選手がAEWへ移籍した際の高額な契約金や、Youtube等を活用して個人の価値を高める拳王選手のような例は、まさにセカンドキャリアの模索と言えるでしょう。

身体が資本であり、加齢による衰えが避けられないアスリートにとって、この問題は切実です。「自分ファースト」の選手と、「団体ファースト」の会社。双方が最善を尽くそうとすれば、優秀な選手ほど外へ飛び出すのは必然の流れなのです。

誤解のないように補足しておきますが、私は「団体ファースト」である会社が「悪」だと言いたいわけではありません。組織として存続を図るのは当然のことですし、選手自身もそれを理解しています。同様に、団体側も選手が「自分ファースト」であるべきだと思っているはずです。

プロレスは常に危険と隣り合わせの仕事です。団体は負傷した選手を全力でサポートし、選手もまた仲間のため、団体のために個を押し留める瞬間がある。そこには確かな支え合いが存在します。

ただ、私たちファンはどうしても個々の選手に感情移入してしまいます。好きな選手が退団すれば、「団体が悪いんだろう」「冷遇したのではないか」と短絡的に考えがちです。しかし、少し冷静になる必要があります。これはどちらが悪いという話ではなく、それぞれの立場における「最適解」が変わってきた、という構造的な話がほとんどなのだと思います。

会社員にとっての「セカンドステージ」攻略法

では、多くの会社員はどうすべきでしょうか。 プロレスラーと違い、肉体を売りにしているわけではありません。加齢による体力の衰えはあっても、知識や経験値は積み上がっていきます。

結論から言えば、「いきなり仕事を辞めて挑戦するのではなく、仕事をしながら毎日コツコツやる」。これに尽きます。

「仕事をしながらだと中途半端になる」と言う人もいますが、そういう人は仕事を辞めても恐らく上手くいきません。やらない理由はいくらでも作れるからです。やる人は、どんな環境でもやります。

何より、会社員という「生活の基盤」を持ったまま挑戦できるのは最強の強みです。もし挑戦が失敗しても、キャリアも生活も失わずに済みます。失敗を笑い話にすることも、また再開することもできる。この「負けない状況」を作った上で、リスクを取れるのが会社員の特権なのです。

「プロへの劣等感」と「会社員の価値」

私自身の話をさせてください。私もかつて「このままでいいのか」と思い悩み、働きながら独学でAfter Effectsや3Dモデリングを学びました。現在ではそれらのスキルで生計を立てられるようになり、一定の満足を得ています。

しかし、その過程は歯がゆいものでした。

会社で働いている間も、「プロのアニメーターは今この瞬間も、お金を貰いながら技術を磨いている」という事実に打ちのめされそうになりました。

「自分には帰宅後の3時間しかない。プロは1日7時間以上やっている。勝てるわけがない」と。

でも、今振り返るとその考えは少し違っていました。 プロがアニメを作っている間、私は会社員として「スーツを着て働く一般的な企業社会における常識」や「組織での立ち回り」「上司部下の関係」など、多くの経験を積んでいました。これらは、もし最初からアニメーターになっていたら得られなかった視点であり、今の仕事にも確実に活きています。

経験は「無駄だ」と思えば無駄になりますが、「価値がある」と捉えれば武器になります。

最後に:自分の人生を生きるということ

これからの時代、自身の環境を活かしたセカンドキャリアの構築はより重要になってくるでしょう。

それは単に「お金持ちになる」「誰かを見返す」といったことではありません。

「良い人生にしたい」

「納得して生きたい」

「後悔したくない」

他者との比較ではなく、自分自身の幸福にフォーカスしたキャリア形成こそが、30代後半からの「セカンドステージ」を輝かせる鍵なのだと思います。

プロレスラーたちが団体の外へ活路を見出すように、私たちもまた、今いる場所から一歩踏み出し、新しい景色を見に行く権利があるのです。

それと同時に、今の場所を大切にする権利も持っています。過去を振り返った時に「これでよかった」という人生を歩めるよう、常に考え、意識し、そして決断していくことが大事なのでしょう。