私はバーチャファイターを初代からプレイしていて、現在制作中と言われている新作もとても楽しみにしています。
そんな一人のプレイヤーとして、今のバーチャファイターに対する要望を書いておこうと思います。
ランクマッチでステージの種類を選べるようにしてほしい
その要望とは、
「リングアウト有りステージ」か「リングアウト無し(壁あり/フルフェンス)ステージ」かを、プレイヤー側で選択できる機能を追加してほしい
というものです。
具体的には、以下のような三択を想定しています。
- どちらでもよい
- リングアウト有りステージのみ
- リングアウト無し(壁あり/フルフェンス)ステージのみ
あくまでも
「リングアウトという要素自体をゲームから無くしてほしい」わけではなく、
「ランクマッチ時に、ステージのタイプを選べるようにしてほしい」
というのがポイントです。
リングアウトが苦手なプレイヤー視点から見えること
リングアウトが「バーチャファイターらしさ」や、独特の緊張感を生んでいることはよく分かっていますし、そこに魅力を感じているプレイヤーが多いことも理解しています。
一方で、実際にプレイしていると、次のような理由でリングアウトを好まないプレイヤーも一定数いるのではと感じています。
リング際になると攻防が消極的・不自然になりがち
- 一気に不利になるため、極端に下がったり、場合によってはリング中央までジャンプで戻るといった不自然な行動になりやすい
- その結果、「読み合い」「技の選択」といった本来の駆け引きよりも、位置取りだけを過剰に意識した妙な展開になることがある
決着が「落ちた/落とした」だけでスッキリしないことがある
- せっかく体力を削ってきたのに、最後はワンミスで「落ちて終わり」で消化不良に感じてしまう
- 逆に自分が勝った側でも、「リングアウトで終わってしまって、あまり気持ちよくない」と感じることがある
こういった感覚を持つプレイヤーにとっては、
「リングアウトによって勝っても負けてもあまり楽しくない」
という状況になってしまいます。
他タイトル(鉄拳)の事例から見える“リングアウト”の受け止められ方
西田宗千佳氏の連載インタビュー
『格ゲー“暗黒の10年”は、『鉄拳』を世界一売れる格闘ゲームへと鍛え上げた──世界市場に活路を拓いた戦略を訊く【バンダイナムコ原田勝弘インタビュー】』
の中で、原田勝弘氏がリングアウトに対する欧米プレイヤーの反応について語っています。
要約すると、
- 欧米では
「体力では優勢だったのに、最後に押し出されただけで負けるのは納得できない」といった不満が、日本と比べて圧倒的に多かった - その「遊ばれ方」やフィードバックを分析した結果として、『鉄拳』シリーズではリングアウトを採用せず、壁で囲んだステージ構造を強化する方向に舵を切った
という話です。
つまり、
「リングアウト」というルールに対する許容度・好みには、地域差・文化差がある
ということだと思います。
日本では受け入れられている要素でも、欧米では強いストレスとして受け止められる場合がある。
その一例が、まさにリングアウトだったわけです。
また、世界で600万本売れた『ストリートファイター6』も、壁際の攻防はありますが、リングアウトは存在しません。
もちろん、それだけが人気の要因ではありませんし、2Dと3Dで事情が違うことも理解しています。
それでも、「リングアウトがない」という選択をしているのは事実です。
NEWVFが掲げる「リアリティとゲームとしての面白さ」とリングアウト
YouTubeの「『New VIRTUA FIGHTER』Project スペシャルステージ:バトル解説」でも、
NEWVFのコンセプトとして
「リアリティ」と「ゲームとしての面白さ」
が語られていました。
では、現実の格闘競技を見てみるとどうでしょうか。
- UFC
- Bellator
- ONE
- RIZIN
こういった団体で、リングアウトを採用しているところは基本的にありません。
また、「アグレッシブな戦い」を重視するため、寝ている状態からスタンドに戻すなど、膠着状態を避けるルール設計も行われています。
このあたりからも、
- リングアウトは「リアリティ」という観点から見ると、現代の主流格闘競技とは少しズレている
- 「ゲームとしての面白さ」という点でも、強いストレスに感じる人が一定数いても不思議ではない
という考え方は、決して極端なものではないと思っています。
もちろん、逆に「リングアウトがあるからこそ面白い」という人も同じくらい存在するでしょう。
だからこそ、「廃止」ではなく「選択させてほしい」という話になります。
ちょっと別角度の例:ドラゴンボールのセルゲーム
少し視点を変えた例として、漫画『ドラゴンボール』の「セルゲーム」を挙げたいと思います。
セルゲームでは当初、リングアウト負けのルールが存在していましたが、セルは悟空との戦いの途中で、
- 「この戦いを場外負けなどで終わらせるのは惜しい…」
- 「場外負けというのはルールから外そう」
- 「私たちにはなんの意味もない」
といった趣旨の発言をし、自らリングアウト負けのルールを廃止します。
読者目線で見ても、
「もしセルと悟空の勝敗が“場外負け”で決まってしまったら、一気に冷めてしまう」
という感覚が広く共有されていたからこそ、あの演出が成立していたのだと思います。
eスポーツとしての“最後の1試合”がリングアウトで終わるとき
バーチャファイターは、世界的なeスポーツタイトルを目指すシリーズだと思っています。
では、もし
世界最強を決める最後の1試合が、リングアウトで終わった
としたら、観客はどう感じるでしょうか。
- シリーズや格闘ゲームに詳しいコアプレイヤー:
→ リングアウトも含めて「バーチャらしい駆け引き」として楽しめる - VFや格ゲーに詳しくない視聴者:
→ 「せっかくの頂上決戦が、押し出し一発で終わってしまった」
という物足りなさ・爽快感の欠如につながる可能性がある
このあたりも含めて考えると、リングアウトの扱いをプレイヤー側で柔軟に選択できる仕組みには、それなりの意義があるのではないか、と感じています。
機能追加によるメリット(想定)
今回の三択機能が実装されたと仮定すると、遊び方はおおよそこうなります。
- リングアウトが好きなプレイヤー
→ 「どちらでも」または「リングアウト有りステージのみ」を選択 - リングアウトが苦手なプレイヤー
→ 「リングアウト無し(壁あり/フルフェンス)ステージのみ」を選択
ステージの種類自体を増やす必要はなく、
既存ステージをマッチング時にフィルタリングするだけなので、
実装コストも比較的抑えられるのではないかと想像しています
(もちろん、実際のコストは開発チームの皆さんでしか判断できない部分ですが)。
さらに、この機能が実装されると、「どのステージがどれだけ選ばれているか」という生のデータが取れるようになります。
- アンケートのような自己申告ではなく、実際のプレイログに基づく“行動データ”
- 「リングアウトありステージは実際どれくらい選ばれているのか?」
- 「壁あり/フルフェンスの方が圧倒的に人気なのか?」
こういった情報は、今後のステージ設計やタイトル全体の戦略を考えるうえで、かなり有益な指標になるはずです。
想定される懸念と、それに対する自分なりの考え
1. 「同じランクとして扱ってよいのか?」問題
考えられる懸念の一つとして、
「全ステージをプレイしている人」と「フルフェンスのみを選んでいる人」を本当に同じ“ランク”として扱ってよいのか?
という点があるかもしれません。
ただ、他タイトルに目を向けると、『ストリートファイター6』では“モダン操作”と“クラシック操作”が同じランクマッチ環境で対戦しています。
もちろん、この点を問題視する声はあると思います。
それでも、「ランク」という機能自体は破綻せず運用されている。
操作方式という、プレイフィールが大きく変わる要素ですら同じランク帯で共存していることを考えると、
- 「全ステージあり」
- 「フルフェンスのみ」
といったステージ選択の違いだけで、
両者を同じランクとして扱えない、とまでは言い切れないのではないか、というのが自分の考えです。
(個人的には、SF6についても「モダンのみ/クラシックのみ/両方可」で検索できるのが理想だと思っています)
2. 「マッチングが成立しづらくなるのでは?」問題
もう一つの懸念として、
条件が細かくなるとマッチングしづらくなるのでは?
という点が挙げられると思います。
ただ、これまでリングアウトありのステージが標準仕様で存在してきたことを踏まえると、プレイヤーの嗜好は大きく分けて次の三つに分かれると考えています。
- リングアウトの有無はどちらでもよいプレイヤー
- リングアウト有りステージのみを望むプレイヤー
- リングアウト無しステージのみを望むプレイヤー
おそらく母数として一番多いのは「どちらでもよい」層です。
この層が一定数存在する限り、
- 「リングアウトありだけを望むプレイヤー」
- 「リングアウトなしだけを望むプレイヤー」
の両者は、この“中間層”とマッチングしてもらうことで、極端に困ることはないのではないか、と考えています。
もしマッチングに目に見える支障が出るとすれば、
- 「どちらでもよい」層が極端に少ない
- なおかつ、「リングアウト無しのみ」が多数派で「リングアウト有りのみ」がごく少数派(またはその逆)
という、かなり特殊な人口バランスになった場合だと思います。
しかし、現実的にはそこまで極端な偏りは起きにくいのではないでしょうか。
仮に起きたとしても、それはそれで
「ユーザーは本来どんなステージ環境を望んでいたのか?」
がデータとして可視化された、という意味で、開発側にとっても大きなヒントになるはずです。
まとめ:リングアウト文化を否定したいわけではない
最後にもう一度、大事なポイントだけ整理します。
- VFならではのリングアウト文化そのものを否定したいわけではない
- 「リングアウトが楽しい人」と「リングアウトが苦手な人」
両方が気持ちよくランクマッチを遊べる環境があったら嬉しい - そのほうが、VFというゲームを多くの人に触ってもらえるのでは、と思っている
地域・文化ごとのプレイスタイルや好みの違いは、先述の『鉄拳』の事例のように、すでに実例として存在しています。
その違いに柔軟に配慮した設計は、世界的なプレイヤー層の拡大にもつながる可能性があるはずです。
その一つのアプローチとして、ランクマッチのマッチング設定に
- どちらでも
- リングアウト有りのみ
- リングアウト無しのみ
という三択を設ける案を、セガさんに要望として送る予定です。
バーチャファイターシリーズを末永く楽しみたい一人のプレイヤーとして、より快適に対戦を楽しめる環境作りの一助になればと思い、このブログ記事としてもまとめておきました。
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